norimanorima’s blog

norimaのブログです。M.D. PhD.です。皮膚科医として臨床および研究やってます。

受験

多くの人が経験する大学受験。

 

今となっては東京大学理科3類に無事合格できたので、喉元過ぎれば熱さ忘れると言った具合であるが当時は非常に迷っていた。

 

僕の通っていたN高校は同級生の約半分が東大、1/4〜1/3が医学部に行く、ある意味進学校らしい特殊な環境であった。

 

公立小学校から運良く中学受験を突破できたはいいものの、そこは天才や秀才の巣窟であった。

中学1年生の中間テストの際勉強して受けるものと思っておらず無勉強でテストを受けて散々な成績をとったのはほろ苦い思い出である。

 

そんな僕でも医師になりたかった。

 

叔父が医師だから、母親が難病だから

受験の面接対策の時に上記を答えるとありきたりと言われたのを覚えているが、そんな割と普通な理由でなんとなく医師に憧れていた。

 

医師になれれば当初はどこでもいいと考えていた。

そんなの嘘だろとよく言われるが本当である。

もし中学1年生の時の進路相談の記録が残っていれば、僕は愛媛大学医学部に行きたいと答えているはずだ。

 

そんな自分を変えたのは同級生のNとYである。

Nは部活の同級生で割と器用で真面目な性格の持ち主であった。Nの魅力は真面目な割にはっちゃけるときにははっちゃけることができる点だろう。何事にも全力と言えるかもしれない。

洞察力もおそらく人一倍鋭く、僕の弱点をはじめて見つけたのも彼だ。

一方Yはいわゆる天才である。一度聞いたことをほぼ全て記憶、理解しテスト前も一緒に遊んでいるにもかかわらずいつも彼は100点。

国際数学オリンピック国際情報オリンピックに出場しメダルを獲得してくるなどこんな人もいるのかと衝撃を受けたものだ。

高校になる頃にはある程度どこに進学したいか定まってくる。

Nは京都大学医学部医学科志望、Yは東京大学理科3類志望であった。

僕は高校になる頃にはどちらかと同じ大学に行きたいと思うようになっていたが高校3年生になっても決めきれずにいた。

成績が良かった訳ではない。むしろ東京大学理科3類も京都大学医学部医学科もD判定やE判定ばかりである。

そんな高校3年生の秋の模試で衝撃が走る

東京大学理科3類はD判定のままなのだが、京都大学用の模試でA判定をとったのだ。

ここで悩みに悩んだ。

東京大学京都大学の傾向はやや似てはいるものの同じではない。

京都大学型の方が自分に向いているのかもしれない。

安全をとるなら京都大学か。

 

Nはがむしゃらに勉強しており相談できなかった。

ここに来てそもそも医師になりたいのかといった疑問も出てきた。

そんな時珍しくYの方から一緒に模試の過去問を解こうと提案を受けた。

今思い返すとYが模試の過去問雑誌を購入する手間を省くためだったのかもしれないが当時の僕には救いに思えた。

Yがどうなっていくかもう少し近くで見ていくのも面白そうだ。

最終的な決断理由はこれなのである。

結果的に実力が足りず1浪はしたが東京大学理科3類に合格でき、今は医師として働いている。

今もYとの関係は良好であり、少なくとも年に1回は飲みに行っている。

 

あの時京都大学医学部医学科を受験する選択肢をとっていたら現役で合格できたかもしれず、Nとの関係も良好に続いていたかもしれない。

京都大学も現在iPS細胞やオプジーボなど研究の勢いは凄まじいものがある。

それでも今の自分の立っているこの場所にはあの決断をしなければ来られなかったと考えると、今のところは間違っていたとは思えないのだ。

 

選ばなかった選択肢の人生に恥じぬよう今後も生きていきたいと思います。